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- インプラントと骨の関係
骨がなくてインプラント治療が出来ないといわれた
インプラントは、チタンのネジを顎骨に埋入し、人工の歯の根としての役割をはたします。その為、骨が少ない場合は、通常のインプラント手術が難しくなります。
そもそも日本人は顎骨が薄いと言われています。また、下の図のように上顎には上顎洞という空洞があり、 下顎には大変重要な神経と血管の束が通っている為、特に奥歯の方にはインプラントを埋めるための骨が十分に無いことは珍しくありません。
上顎
下顎
歯科医院によっては「これは無理ですね」と言われてしまい、そのまま諦めておられる方が多くおられますが、 現在では技術があれば骨がなくともほとんどの症例に対応することができます。
骨が少ない方にインプラント治療を行う場合、方法としては
- ・骨を増やす方法
- ・グラフトレス:少ない骨でも上手く利用してインプラント埋める方法
の2つの方法があり、患者さまの希望や症例によってご相談しながら進めることができます。
このような治療は熟練した知識と技術が必要な為、歯科医院の設備や技能によって行える治療には大きな幅があります。
骨再生治療(骨を増やす方法)
骨が少ない場合は骨にインプラントをしっかり固定する事が困難になります。 しかし、現在では骨がなくとも骨を増やすことで殆どの症例にインプラントを行う事が可能になっております。
骨再生治療は熟練した知識と技術が必要な為、歯科医院で難しいと診断を受けた患者様も、諦めず数軒の歯科医院で相談することをお勧めいたします。
- 1上顎洞部(鼻腔)への骨造成法
- 上顎の奥歯の上の部分には、上顎洞という空洞があります。 ここには骨が再生しやすい特性があり、このなかに骨が増える処置を行う方法です。
骨が十分にある方全体的に12㎜以上の骨の厚みがあり、骨を増やすことなくインプラントを埋入する事ができます。部分的に骨が少ない方
臼歯の方の一部分5㎜程度しか骨がない部位があります。
このような場合、上顎洞のインプラントを埋入する部分にピンポイントで骨造成を行います。ソケットリフト法
インプラントを埋入する際に上顎洞底部に有る粘膜を押し上げCGFを充填します。症例によっては人工骨及び自家骨を一緒に使用する場合もございます。
約4~6ヶ月で骨が出来ます。CGFとは?広範囲で骨が少ない方前歯(鼻の下あたり)には何とかインプラントが埋められる骨がありますが、臼歯の方には左右とも骨が1~2㎜程度しかありません。
インプラントをしっかりと固定するには、骨質にもよりますが10㎜以上の骨の厚みあると理想的です。このような場合、上顎洞の広い範囲で骨造成を行います。サイナスリフト法
上顎洞の横に直径10~20㎜程度の窓を開け、上顎洞底部に有る粘膜を大きく押し上げスペースを作り、その部分にCGF及び人工骨を入れます。半年~1年で骨ができます。インプラントの埋入と同時に行う事もございます。CGFとは?
- 2GBR(骨再生誘導法 guided bone regeneration)
- 骨の厚みや高さが足らないところに、骨を再生させる方法です。
骨よりも粘膜の再生が早いため、骨が再生する空間を作りバリア(メンブレン)をおくことで、粘膜の侵入をブロックすると、 ブロックした空間にゆっくり骨が再生してきます。- インプラントを適正な位置に入れます。骨が一部少なくインプラントが骨の中にしっかり埋まっていない状態です。
- 骨が不足している部分に、CGF及び人工骨もしくは自家骨を挿入します。
- 歯茎の組織が入り込まないように、特殊な膜で覆います。
- 数ヶ月後膜を取ると膜で覆っていた部分に骨ができ、 1で埋入したインプラントはしっかり骨で覆われ丈夫な状態になります。
※GBRのみを行って半年ほど待ち、骨が出来てからインプラントを行う場合があります。
- 3スプリットクレスト
- 幅の少ない骨に対して、特殊な超音波装置(ピエゾン)で骨の真ん中に切れ目を入れ、 切れ目から骨を曲げ広げるように拡大し、出来た隙間にインプラントを入れる方法です。
少ない骨でもインプラントを埋める方法(グラフトレス)
今ある骨を上手く利用して骨を増やさずにインプラント治療を行う方法(グラフトレス)もございます。
グラフトレスは手術の負担が少なく骨再生までの時間を要しない為、治療期間も短縮でき、費用も最小限に抑える事ができます。骨増生には以下のような欠点もあり、グラフトレスが適応できる症例であれば利点の大きい方法です。
骨増生の欠点
- ・手術侵襲(手術時間もかかり、傷も大きく体に負担をかけます)が大きくなる。
- ・骨の再生を待つ必要があるので、治療期間・治療回数がかかる。
- ・手術の費用がかかる。
- ・人工骨などの移植材やメンブレンなどの人工材料を使用するため、熟練した施術を行わなければ感染のリスクが有り、感染を起こすと骨が出来ないばかりか更に骨の吸収を起こしてしまう。
※これらの欠点は熟練した技術と治療体制があれば非常に低い危険度です。
少ない骨でも上手く利用してインプラントを埋める方法は大きく分けて2つございます。
- 1ショートインプラントの使用
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上顎にある上顎洞や下顎にある神経・血管の束までにある少ない骨に、短いインプラントを数本埋入し強度を出す方法です。
従来のインプラントは、短いもので7~8mmまでで、それ以下の高さのない骨には、骨造成を行うしかありませんでした。 過去のインプラントではこの部位に短いインプラントを行った場合、長持ちしにくいというデータがありましたが、 現在では、インプラントの骨との接触の強さが大きく改善され、5~6mmの短いインプラントでも、本数や配置等の設計が適切であれば、 長く持つことが期待されるようになりました。
- 2傾斜埋入
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上顎洞や神経・血管等の危険な場所を避け、骨が多く存在する場所を狙って斜めに入れることで、 骨増生の手術を行わずにしっかりとした長さのあるインプラントを入れる技術です。
曲がって入っても大丈夫か?というご質問を受けることがあります。
1本だけの場合はあまり好ましくないのですが、数本を連結する場合は、三脚がしっかり立つ効果と同じで、 傾斜させることで支え合いしっかりするという考えがあります。また、骨が多くある方向に入れることにより、 より長いインプラントを入れることが可能になります。ただし、手術、歯をいれる作業も難しくなるため、 十分なシミュレーション、インプラントパーツのバリエーション、精密な技術が必要になります。
骨が少なく、他院ではインプラント治療が出来ないと言われた患者様も、現在では技術があればほとんどの症例に対応することができます。
まずは自分の今の状態を知ることと、選択肢を知ることから始めましょう。お気軽にご相談下さい。